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IP Rights Managementを活用し、知財を「持っている」から「運用する」へ
IP Rights Managementの基本、海外・日本の代表的なプロダクト、導入を考えるタイミングを整理します。
LegalTech Media編集部
編集部

知的財産というと、特許を出願する、商標を登録する、著作権を守る、といった場面がまず思い浮かびます。
ただ、企業や法律事務所の実務では、権利を取得した後の管理がかなり重い仕事になります。どの国で出願しているのか。次の期限はいつか。更新すべきか、放棄すべきか。ライセンス契約はどこにあるのか。事業部はその権利をどう使っているのか。
IP Rights Managementは、こうした知財の「取得後の運用」を支えるリーガルテック領域です。知財を保有しているだけではなく、期限、費用、権利範囲、活用状況を見ながら、事業と結びつけて管理する発想が中心になります。
IP Rights Managementとは
LegalTech Hubでは、IP Rights Managementを、特許、商標、ドメイン名、著作権など複数種類の知的財産権を対象とし、登録、権利情報のリポジトリ、維持、ライセンス、更新などを支援するソフトウェアとして説明しています[1]。
また、IP Management全体は、特許・商標・著作権といった権利の種類で分類する見方と、登録支援、権利情報の保管、維持・更新支援といった機能で分類する見方があるとされています[2]。
要するに、IP Rights Managementは「知財版の案件管理」であり、「知財版の台帳」でもあります。ただの一覧表ではなく、期限、手続、費用、契約、関係者、国ごとのルールを含めて動かすための管理基盤です。
どのようなサービスがあるか
IP Rights Managementの中核になるのは、ポートフォリオ管理、期限・ドケット管理、更新管理、出願・中間処理の進捗管理、文書管理、費用管理、レポート作成などです。
特許であれば、出願、審査請求、中間対応、年金管理、外国出願などが問題になります。商標であれば、出願、登録、更新、異議申立、ブランド保護、模倣品対応などが関係します。ドメイン名や著作権まで含めると、管理対象はさらに広がります。
最近は、単に期限を知らせるだけでなく、公式データの取り込み、ダッシュボードによる可視化、外部代理人との連携、費用予測、AIによる分析や文書処理まで含むサービスも増えています。
海外の代表的なプロダクト
LegalTech Hubは、この領域の例としてAnaquaとFoundationIPを挙げています[1]。
Anaquaは、知的財産管理ソフトウェアとサービスを提供する企業で、IP docketing、prosecution、renewals、portfolio managementを一つのプラットフォーム上で扱うことを掲げています[3]。同社のAQXは、特許や商標をライフサイクル全体で管理し、ポートフォリオを複数の観点から整理・分析できることを特徴としています[4]。
FoundationIPは、Clarivateが提供する法律事務所向けのクラウド型IPライフサイクル管理ソリューションです。Clarivateは、FoundationIPを、法律事務所のIP業務を効率化し、IPライフサイクルの各段階を支援するソフトウェアとして紹介しています[5]。
Alt Legalも、商標を中心に見たときには参考になります。Alt Legalは、180以上の知財庁とのデータ接続を掲げ、グローバルな商標・IP filingsの管理、期限アラート、レポート作成を支援すると説明しています[6]。
どのようなときに導入を考えるのか
導入を考えるべきなのは、知財情報がExcel、メール、代理人からのレター、社内フォルダに分散し始めたときです。
特に危ないのは、期限管理が個人に依存している状態です。特許年金、商標更新、審査請求、外国出願の期限は、見落とすと権利喪失や大きな損失につながります。件数が少ないうちは手作業でも回りますが、国数や権利数が増えると、属人的な管理には限界が来ます。
もう一つの導入タイミングは、知財を「守るもの」から「経営に使うもの」に変えたいときです。どの事業にどの権利が効いているのか。維持費に見合う価値があるのか。競合の出願状況と比べて、自社のポートフォリオはどこが薄いのか。こうした問いに答えるには、権利情報を検索・集計・分析できる形で持つ必要があります。
日本の類似プロダクト
日本にも、知財管理に使えるサービスはあります。
root ipクラウドは、企業版と事務所版を提供する知財管理クラウドです。事務所版では、法定期限に加えて組織内期限やクライアント・代理人期限を登録でき、ルールに応じた期限の自動設定にも対応すると説明されています[7]。
東芝デジタルソリューションズのIPeakMSは、知的財産・無形資産に関する手続情報、人材情報、ノウハウ、経費、契約、事業・製品などをクラウド上で一元管理し、共有できるサービスです[8]。知財を単なる権利台帳ではなく、事業や無形資産の情報とつなげる発想が見えます。
日立のPALNET/MC6も、知的財産管理システムとして、人、組織、情報をつなげ、企業価値を高める知財戦略を支援するサービスです[9]。知財管理の効率化だけでなく、情報共有や見える化を重視している点が特徴です。
まとめ
IP Rights Managementは、知財を登録して保管するためだけの仕組みではありません。
期限を守る。更新を判断する。代理人と連携する。費用を把握する。事業との関係を見える化する。ポートフォリオを見直す。そうした日々の運用を支える基盤です。
知財が少数の専門家だけの管理対象だった時代には、Excelやメールでも何とかなったかもしれません。しかし、グローバル出願、ブランド保護、オープンイノベーション、無形資産経営が進むほど、知財はより多くの部署と結びつきます。
知財を「持っている」だけでなく、「使える状態で管理する」。IP Rights Managementは、そのためのリーガルテックです。
参考
[1]LegalTech Hub「IP Rights Management」
[2]LegalTech Hub「IP Management」
[3]Anaqua
[4]Anaqua「AQX Corporate」
[5]Clarivate「FoundationIP」
[6]Alt Legal
[7]root ipクラウド 事務所版
[8]東芝デジタルソリューションズ「IPeakMS」
[9]日立「PALNET/MC6」
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