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複雑な法律案件を「進め方」から整えるProject Management & LPM

法律業務には、担当弁護士が一人で進める案件も多くあります。

LegalTech Media編集部

編集部

複雑な法律案件を「進め方」から整えるProject Management & LPM

法律業務には、担当弁護士が一人で進める案件も多くあります。そうした案件では、細かなプロジェクト管理ツールを入れるより、期限、タスク、依頼者対応を確実に管理できれば十分なこともあります。

一方で、案件が複雑になると話は変わります。複数の弁護士、パラリーガル、外部専門家、クライアント側の担当者が関わり、作業範囲、期限、予算、報告方法をそろえる必要が出てきます。

M&A、ファイナンス、大規模訴訟、危機対応、社内調査、規制対応のような案件では、法的判断そのものだけでなく、「案件をどう進めるか」も成果に直結します。

LegalTech Hubの「Project Management & LPM」は、この問題を扱うカテゴリです。法律業務をタスク、期限、優先度、進捗、コミュニケーションに分解し、複雑な案件や複数案件を管理するためのソリューションとして整理されています[1]。

Project Management & LPMとは

Project Management & LPMのLPMは、Legal Project Managementの略です。

一般的なプロジェクト管理と同じように、案件のスコープを決め、タスクに分解し、担当者を割り当て、進捗を確認し、予算や期限を管理します。ただし法律業務では、単純なタスク管理だけでは足りません。

法的判断のタイミング、依頼者との合意形成、相手方との交渉、外部弁護士との連携、レビューや承認、コスト管理が絡みます。LPMは、こうした法律業務特有の複雑さを前提に、案件を予定通り、予算内で、見通しよく進めるための考え方です。

LegalTech Hubも、一般的なAsana、Smartsheet、Mondayのようなプロジェクト管理ツールに加え、法律業界向けのプロジェクト管理ツールが、法律事務所の案件チームや企業法務部を支援するために発展していると説明しています[1]。

どのようなサービスがあるか

Project Management & LPMの主な機能は、タスク管理、担当者の割当て、進捗管理、優先度設定、期限管理、チーム内コミュニケーション、レポート作成などです[1]。

法律事務所向けでは、案件ごとの作業計画、予算管理、稼働状況、クライアント向けレポートが重要になります。特に複数人が関与する案件では、パートナー、アソシエイト、パラリーガル、外部専門家の作業を整理し、誰がどの作業をどこまで進めているかを見える化する必要があります。

企業法務部向けでは、法務相談、契約審査、規程改定、M&A、調査対応、当局対応などを案件として管理する発想が重要です。法務部は、事業部からの依頼を受けるだけでなく、優先順位をつけ、進捗を説明し、リソースを配分する必要があります。

海外の代表的なプロダクト

LegalTech Hubでは、この領域の例としてFibonacciやDashboard Legalが挙げられています[1]。

Fibonacciは、法律業界向けに設計されたプロジェクト管理プラットフォームです。公式サイトでも、法律サービスの提供体験を改善するためのリーガル業界向けプラットフォームと説明されています[2]。LegalTech Hubでは、Barclaysのような法務部や、そのパネルファームのプロジェクト管理を支援する例として紹介されています[1]。

Dashboard Legalは、Bloomberg Lawが提供する法律業務向けのプロジェクト管理・コラボレーションツールです。汎用的なプロジェクト管理ツールではなく、法律業務向けのツール、DMS連携、専門的なオンボーディングを特徴として掲げています[3]。

Planning Bloxも、LPMと価格設定の接点を見るうえで参考になります。法律事務所向けに、matter budgeting、project planning、portfolio management、client reportingを提供するLegal Project Managementソフトウェアとして紹介されています[4]。LPMが単なる進捗管理ではなく、見積り、予算、採算管理と結びつくことがわかります。

どのようなときに導入を考えるのか

導入を考えるべきなのは、すべての案件を細かく管理したいときではありません。案件の関係者、作業範囲、期限、費用が増え、担当者の経験や個別のメール管理だけでは全体像を把握しにくくなったときです。

たとえば、M&Aやファイナンスでは、デューデリジェンス、契約交渉、社内承認、クロージング準備が並行して進みます。社内調査や危機対応では、事実確認、関係者ヒアリング、証拠保全、当局・メディア対応が同時に動くこともあります。こうした案件では、法的論点だけでなく、誰が、いつまでに、何を終えるのかを管理することが重要になります。

また、企業法務部では、複数の事業部から契約審査や相談が同時に入るため、案件の優先順位や滞留状況を見える化する必要があります。LPMは、法務の仕事を「個別対応の積み重ね」から「管理できる業務」に変えるための仕組みです。

日本の類似サービス

日本では、LPM専用ツールというより、法務案件管理、契約ワークフロー、CLM、汎用プロジェクト管理ツールを組み合わせて近い運用を作るケースが多いと思います。

GVA TECHのOLGAは、法務案件の依頼から管理までを自動化する法務オートメーションとして展開されています。公式サイトでは、法務案件・契約情報、過去のやりとりを一元管理し、進捗を可視化する機能が説明されています[5]。企業法務部の案件管理に近い使い方ができます。

Hubbleは、契約業務・管理クラウドとして、契約書のバージョン管理や変更点確認、契約業務の進行管理に使えるサービスです[6]。契約審査を案件として捉え、関係者とのやりとりや進捗を整理する点で、LPM的な価値があります。

MNTSQ CLMは、契約ライフサイクルを一気通貫で支援するサービスです。依頼、審査、締結、管理までをつなぐことで、法務部が契約案件の状態を把握しやすくする仕組みといえます[7]。

まとめ

Project Management & LPMは、すべての法律業務に重厚な管理を持ち込むためのものではありません。

一人の担当者で十分に回る案件もあります。一方で、複数の関係者、複数の期限、予算、報告、承認が絡む案件では、進め方そのものを設計しないと、品質やスピードに影響します。

LPMは、法律家の仕事を機械的に分解するものではなく、複雑な案件を関係者が理解できる形に整理し、予定通りに進めるための運営技術です。法律事務所にとってはクライアントへの説明責任を高める手段になり、法務部にとっては優先順位とリソース配分を見える化する手段になります。

参考

[1]LegalTech Hub「Project Management & LPM」
[2]Fibonacci
[3]Bloomberg Law「Dashboard Legal」
[4]Planning Blox
[5]GVA TECH「OLGA」
[6]Hubble
[7]MNTSQ CLM

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